感想文:DIE WITH ZERO

また面白い本と出合いました。ビル・パーキンスさんの著書、児島修さん訳の「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」(ダイヤモンド社)です。

この本はFIRE生活をしている私にとって、とにかく新鮮でした。なぜなら、お金の「貯め方」ではなく「使い方」を指南する本だったのです。とても説得力のある内容で思わず一気読みしてしまいました。そこで、今回もこれまでの日記と同様、本の概要を語るのではなく、FIRE生活をしている私が強く共感したパートと感想を書いていこうと思います。

ちなみに、本自体は量的にはそれほど多くなく、文体もとても読みやすいので、気軽に読める一冊です。そして、読む気のある人は出来るだけ早く読んだ方がいい、そんな内容の本です。

Die with zero ゼロで死ね、ってことですが、著者が言いたいのは、働いて貯めたお金を散財しろ(=死ぬ前に資産を使い切れ)ということではなく、使い切れないほどのお金を貯めるために働く時間があるなら、もっと有効的な時間の使い方をするべきだ、ということです。

もの凄く共感しました。

【FIREの日常】の#1で少し書きましたが、この日記で資産の運用方法などに触れないのは、証券会社に資産を預けていたら運よく増えたからで、意図したものではないからです。そして、本来のFIREは運用益だけで生活することを目指し、元本には手を付けないことが良しとされていますが、私は元本を取り崩しながら生活しています。そういった意味で「私はFIREです」と大手を振って名乗ることに少し後ろめたさもあったため、生活の様子と想いだけを日記にしていました。

それが、この本によると「45~60歳に資産を取り崩し始める(ルール8)」とあります。49歳で資産を取り崩しはじめてFIRE生活をスタートさせた私のことを肯定してくれているようで、とても嬉しくなりました。

資産を取り崩すことには、やはり不安はありました。何歳まで生きるのかも分からないのに、貯金を減らしながら生活して大丈夫なのか?大きな病気を罹って高額な医療費を払ったら、その後は貧しいみじめな生活が待っているんじゃないのか?などなど、考えだしたらきりがありませんでした。

幸い私自身は、楽観的な性格なので『まぁ何とかなるし、ダメならそれでもいいやっ』と今の生活をはじめてしまいましたが、この本によると老後のお金にかかわる問題はそれほど深刻ではないことをデータを使って論理的に解説してくれています。目から鱗で、かなり楽になりました。

そして、このパートだけでも私にとっては十分価値のある本でしたが、もう一つこれからの生活に役立てたい言葉がありました。

『どんな経験でも、いつか自分にとって人生最後のタイミングがやってくる。(ルール7)』

本の冒頭でイソップ寓話の「アリとキリギリス」を引き合いに、『キリギリスは遊びすぎだが、アリは一体いつ遊んだのだろう?』と働くだけの人生を否定して、人生を豊かにするための「経験」に時間やお金をかけるべきとし、そのための9つのルールを説いています。

そして、その経験にも期限があることを教えてくれています。確かに、10年ほど前に行ったスキューバダイビングも、その時は『これが最後になるかも』なんて微塵も思わず潜っていました。移住の引っ越しで道具一式を捨ててしまった今となっては、再スタートするのはかなりハードルが高くなって、恐らくあの伊豆での海が最後のダイビングだったのかもしれません。

このような最後の出来事を本書では『人生の過程で小さな死をいくつも体験する』と表現しています。この「死」と言う表現がとても気に入りました。日記の#11で「明日死ぬと思って生きる覚悟」はできていないと書きましたが、物理的な死の覚悟はできなくても「これは今日が最後かも」という気持ちで行動すればいいのだと気付かされました。

海外旅行に行ったときは「この国には二度と来れないかもしれない」と思うから必要以上に観光地をまわって満喫しようと思うし、記念日に高級レストランで奮発した時は「次はいつ食べられるか分からない」と思うから、お皿のソースまできれいに食べてしまいます。この気持ちを日常生活にも持ってみようと思います。

『これが最後かも』を、これからの私のポリシーにします!

もちろん、今回の日記もこれが最後と思って書きましたよ。そして、本当に最後だったらすいません (T_T)