以前の日記で、玉ねぎの種をトレイに蒔く様子を近代農業の凄さと共に書きましたが、今回はその続きです。トレイに蒔かれた種は、数日間待った後に畑に並べられて、芽が出るように育てられます。この畑にトレイを並べる一連の作業を手伝ってきたので、その様子を書いていきます。
前回も少し書きましたが、玉ねぎの種は一度にトレイ約200枚分 6万粒ほどが準備されます。これを玉ねぎの収穫時期をずらすために数種類を数回に分けて植えるので、多い人だと50万個近くの玉ねぎを育てていることになります。その中の極早生といわれる品種が8月末から9月初旬に種まきされるそうで(収穫は翌年の1月下旬~2月上旬)今回はそのお手伝いでした。
お盆が過ぎたとはいえ、この時期まだまだ暑いので、作業は夕方6時くらいから始まります。すでにトラクターで綺麗に畝建てされている畑に黒いネットが敷かれていて、後で聞いたら、このネットはトレイの中で育った玉ねぎの根っこが地面にまで伸びるので、定植するときに根っこを一気に剥がすために敷かれているとのこと。。。色々と考えられてるんだなぁ、と感心しました。
そして、このネットの上に種が蒔かれたトレイを並べていくんですが、ここで便利な治具を使います。畝の幅とぴったり同じに作られた4輪の台車なんですが、アルミでできているので頑丈で軽いんです。これに80~100枚くらいのプラグトレイを載せて、ゆっくりと畑を移動しながら黒いネットの上に数センチの間隔を空けてトレイを置いていきます。
これらを並べ終えたら、次はトレイを地面に圧着させるんですが、ここでも別の治具が活躍します。鉄板の上に手すり用の棒と下にローラーが5本ほど付いたもの、、、キックボードの幅が広いものをイメージすると分かり易い?に人が乗り、それを先ほどのトレイの上に載せて動かすことで、地面にトレイを押し付ける格好になります。体重が重い人が乗ると動かすのは大変なんですが、その方がよく圧着させられるということで、不肖ながら私が鉄板の上に乗ることに。。。押す人は本当に大変そうでした(-_-;)
ここまでくると、あとは最終工程まで一直線です。乾きを防ぐために水を撒いてから、トレイのうえに籾殻を敷き詰めます。これが終わったら、トレイや籾殻が飛ばないようにネットを上から被せ、最後にもう一度水をたっぷりと撒いたら完了です。トレイ200枚分なら1時間足らずで終わります。
籾殻もトレイを置くときに使った4輪にセットして移動するだけで綺麗に均等に蒔くことが出来たり、水は動噴機を使って撒いたり、と少しでも作業が楽になるように工夫されています。
ここから毎日欠かさず水を朝と晩の2回やり、芽が出てからも先端を揃えたり、消毒したりと結構手間がかかる作業が続きます。
今回のトレイを並べる作業はそれほど力が必要な訳でもなく、誰にでもできる作業で、事実、90歳になるおばあちゃんがしっかりと作業を手伝ってくれていましたし、恐らく60年~70年毎年同じような作業を繰り返し続けてきたのでしょう。作業手順がすっかり板に付いた姿には、本当に頭が下がります。淡路島の名産品玉ねぎも作る工程や手間を知ると、ブランド価値を維持するための苦労を感じることができました。
「ブランドは1日にして成らず」
マーケティングでたまに聞く言葉ですが、ブランドを支えていたのはこんなお年寄りたちだったのかもしれません。感謝感謝。