感想文:LIFE SHIFT

今回はちょっと前に読んで、今も影響を受けている「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」の感想を書きたいと思います。FIRE生活を送るきっかけにもなった本なので、読んだ当時に感じたことを思い出し、また実際に生活を始めた今の感想も交えています。相変わらず本の説明はほとんどありませんのご了承ください。。。

今ではテレビやマスコミなどで当たり前のように使われている「人生100年時代」ですが、私にとってはあまり現実味の無い話として聞いていました。なぜなら、父親や祖父、勤め人時代の大先輩や取引先でお世話になった人など、身近な男性陣は概ね70代で亡くなっており、昔から『自分もそうなんだろうなぁ』と漠然と考えていました。

まったく根拠のない単なる思い込みなんですが、実はこれがとても危ないと教えてくれたのが「LIFE SHIFT」でした。と言うのも、私は勝手に自分の寿命を81歳 ± 5年くらいと想定して資産運用とその取崩しをイメージしていましたが、そもそもこの寿命の考え方自体が間違っていたのです。このような考え方をしている人が多いのか、本では冒頭の第1章で平均余命について懇切丁寧に解説してくれています。今49歳の私の場合は95歳 ±5年くらいは生きる可能性があるようです。

これはFIREな生活を計画していた当時の私にとっては大問題でした。想定より15年も長生きするのなら、それ相応の準備が必要になってきます。お金もそうですが、人生の楽しみ方も変わってくると感じ、FIREになる時期を見直す必要性を感じました。

今から4~5年前の私は60歳や65歳まで会社員として働き、その後に自分のやりたいことをするという人生設計に疑問があり、FIREな生活を検討していました。もしかすると会社勤めからの現実逃避だったのもしれませんが、やりたいことやあこがれの生活スタイルが次々と浮かんでいました。

田舎暮らしをしながら家庭菜園やDIY、釣りや地域活動に参加するなど、私は「やったことが無いこと」に惹かれる性質らしく、それらを65歳まで待つことが難しいを感じていました。それに65歳になった自分がこれらの初体験を楽しむだけの体力や精神力が残っているのかを疑問視していたこともあり、出来るだけ早くFIREな生活を始めるべきだと考えていました。

しかし、本の冒頭を読んで「65歳以降も30年ほど生きるとすると、初体験の楽しみは後に取っておいた方がいいのでは?」という考えが浮かび、かなり悩みました。FIREはスタートするタイミングを間違うと、お金のない惨めな終末を過ごすことになりかねません。「あと数年だけこのまま働いた方がいい?」「それとも定年まで勤めた方がいい?」「やっぱり今すぐあこがれの生活を実現した方がいい?」。正解なんかはありません。

でも、この悩みの出口を示してくれたのも「LIFE SHIFT」でした。この本の中盤から後半パートでは寿命が100歳になった人のモデルケースも示してくれています。その中で勇気づけられたのが、お金に換算できない資産についての考え方でした。詳しいことは本を読んでいただきたいのですが、FIREな生活を選択したとしても、それは金融資産を浪費しているのではく活力資産に変換しているので、自分自身への投資だと考えれば十分納得することができたのです。

友人関係や知識、健康、生きる活力など、目には見えないけれど生きていくのに必要なものを資産だと考えると、これらを充実させるために使う時間やお金は確かに自分の将来への投資です。そして長生きするということは、お金という禁輸資産だけでなく、これら見えない資産も計画的に増やさないと、とても寂しく無味乾燥な老後を過ごすことになります。

FIREな生活は「見えない資産」を増やす活動に軸足を移すために、今の私にとっては必要なことだと信じています。そして、何年後かには金融資産を増やすために起業したり、再び一生懸命に働く日々がくるかもしれませんし、その日が来るのを少しだけ楽しみにしている自分もいます。

「LIFE SHIFT」は、FIREな生活を始めることに真剣に悩み、結果的に一歩踏み出すきっかけを与えてくれた、とても影響を受けた本です。色々なことを示唆してくれる本なので、読んでみることをお勧めします。