【FIREの日常】#84 移住して幸せになったのか(後編)

前回に引き続き、移住して幸せになったのか?を検証していきます。

まず、前回は「幸せな状態」を「長続きする幸せ(非地位財)があること」と定義しました。そして、幸福学によると非地位財は4つの因子に分解できるようです。

1.「自己実現と成長」の因子。夢や目標、やりがいを持ち、それらを実現しようと成長していくことが幸せをもたらす

2.「つながりと感謝」の因子で、人を喜ばせること、愛情に満ちた関係、親切な行為などが幸せを呼ぶ

3.「前向きと楽観」の因子。自己肯定感が高く、いつも楽しく笑顔でいられることは、やはり幸せ

4.「独立とマイペース」という因子があります。他人と比較せずに自分らしくやっていける人は、そうでない人よりも幸福

(2015年リクルート「2030年の働くを考える」オピニオン#29より、一部抜粋)

と言うことで、4つの因子について、一つずつ過去と現在を比較していきます。

1.自己実現と成長

『夢や目標ややりがいをもち、それらを実現しようと成長していくことが幸せをもたす』とありますが、この比較は難しいです。サラリーマンの頃も夢や目標はありましたし、やりがいは間違いなくありました。若い頃は出世やいい評価を得ることを目標に高いモチベーションを保っていましたし、管理職になってからは部下の育成などにやりがいを感じていました。今は、自分自身の成長を感じる機会が増えたように思います。これまでやったことのないDIYや園芸など出来るようになったことの幅や種類を実感するたび「自分はこんなこともできたんだぁ」という気持ちになり、少し誇らしい気持ちになります。

なので、この項目は比べようがないので同点、、、ということにしておきます。

2.つながりと感謝

『人を喜ばせること、愛情に満ちた関係、親切な行為など』のことですが、これ、仕事でというよりプライベートで充実させる因子のような気がします。もちろん職場でも良い人間関係を構築するために周囲を喜ばせたり、親切な行動をとることはありますが、そもそも良い結果(いい仕事)をするための手段が人間関係であって、目的ではありません。なので、勤め人の頃はつながりを大事にはしていましたが感謝するほどでもなく、どちらかと言うとぞんざいに扱っていました。

でも、田舎暮らしでは「つながり」を意識せざる負えません。狭い社会なので人とつながっていないと情報が入りずらくなり、都会以上に孤独を感じるようになります。現に、私と似たような時期に移住してきた人も数人島を去りました。理由は様々ですが、やっぱり周囲に溶け込めず孤独感を味わっていたんだと思います。

その点、私自身は地元の人たちに恵まれ、運よく孤独を感じずに暮らしているので、つながりを大切に思う気持ちも芽生えました。これは移住に軍配があがる、、、かな。

3.前向きと楽観

『自己肯定感が高く、いつも楽しく笑顔でいられる』ことは、移住前も移住後も変わらないような気がします。私は昔から自分の長所を「環境適応力が高い」と「満足のハードルが低い」と説明してきました。この「満足のハードルが低い」ことは、自己肯定感につながっていて、ちょっとしたことでも『今日もよく頑張った!お疲れ!』と自分を褒めてきました。そして、自分を褒める行為(他人に褒められることがなかったから?( ;∀;))は、勤め人のときも移住した今も変わらず、どうやら体に染みついているようです。

ちなみに、環境適応力は後天的な資質だったような気がします。新入社員で会社に入ってから14年間営業に所属していましたが、その間に9人の課長に仕え、8人の部長の下で仕事をしました。3年以上一緒に仕事した課長はゼロ。その結果、上司の性格に応じて自分のスタイルを変える「自己変革スキル」が存分に磨かれ、サラリーマン時代の後半と今の移住生活にとても役に立っています(^^)

4.独立とマイペース

『他人と比較せずに自分らしくやっていける人は、そうでない人よりも幸福』と言うことですが、これは圧倒的に移住後の方が優勢です。サラリーマンは他人と比較される職業で、評価は避けることのできない仕組みなので、私も比較され続けてきましたし、当然のようにそれを受け入れてきました。

でも、移住して個人事務所を開設してからは同じような仕事をしている人は周りにいません。独占状態=類似の業者がいない ⇒つまり比較しようにも相手がいない、といった感じです。もちろん、同業者が多い都会にいれば他人と自分を比較していい気分になったり落ち込んだりもするんでしょうが、幸運にも近所には同業者はおらずレアキャラになりつつあります。

そして、他人と比較しない(されない)環境は、ストレスがなくもの凄く居心地がいいです。不思議なもので他人と比べないだけで不安や焦りといったネガティブ感情が減り、自我が目覚める前の幼子のように毎日ぐっすり眠れます。おそらく役職定年を迎えたサラリーマンが出世競争を卒業した後に見せる何とも言えない穏やかな表情・態度は、他人と比較されなくなったことによる安堵から来るものだったのかもしれません。現役時代は鬼の形相だった課長や部長も役職定年でラインから外れると一晩で好々爺に変身し、戸惑うことも多々ありました(*_*;

と、今回は少し長くなってしまいましたが、「移住して幸せになったのか?」というテーマについて、解は「2勝2分けで移住後の方が幸せ」という結果になりました。

まぁ、こんなことをわざわざ分析しなくても移住後の方が自分らしく楽しく生きているので、不幸を感じることなんてないんですが、なんにでも理屈を捏ねたくなるたちなので、、、

2023年もこの「ややこしい性格」は直しません!