【FIREの日常】#43 涼しい職場

5月末から、お隣さんとその職場の人に頼まれて冷蔵倉庫で繁忙期だけのアルバイトを始めました。これまでの職業経験にはない、初めてとなる業務で新たな発見も多かったので、今回はこのアルバイトの様子を書いていきます。

まずはこの職場で働くことになったきっかけから。

淡路島は「御食つ国(みけつくに)」と呼ばれ、平安時代よりももっと前から美味しい食材が採れる土地として名前がとおっていて、朝廷にも献上されていたそうです。陸では先日書いた玉ねぎ以外にもレタスやキャベツなどの野菜類、今の時期に出荷がピークになる枇杷(びわ)や潮風にあたって甘くなる柑橘などの果物類、それに淡路牛や淡路どりなど食用肉類もとても美味です。そして、なんといっても海産物はとても豊富で日本の近海で取れる魚類約3,500種のうち400種近くを淡路島で採ることができるそうです。

その海産物の中でも、この時期から漁獲量が増えてくるのが「ちりめん」です。ちりめんは商品になると「ちりめん雑魚」や「しらす」と呼ばれ、もとはイワシ類の稚魚で5月ごろから、このちりめん漁が盛んになります。そして、漁につきものなのが、採った魚たちを新鮮なまま運ぶための氷です。私のバイト先は漁船や鮮魚店などに氷を販売する会社で、福良地区に製氷設備と冷蔵倉庫を持っています。ここに朝7時前から出港準備を終えた漁船や水揚げされた魚を買いに行く仲買人、店頭やお客さんのところに採れた魚を運ぶ水産会社の人たちが氷を買いに来てくれます。

ここでは氷を『1枚、2枚』と呼びますが、1枚がおよそ60kgほどで、漁船だと6~7枚ほど、軽トラックでも4枚分の約250kg以上を積んで行きます。しかも、好漁だと1日に3回も氷を積みに来られるようです。

この氷は2枚分を1本として製氷され、これが12本(約1.5トン)を一組にして48時間以上かけて作られます。製氷機では、これを50組ほど作ることが可能で、おおよそ80トン近い氷を作ることができます。この時期になると毎日50~100本近くが販売されるため、毎日6~10トンほどの氷を作って運んでいるとことになります。また出来た氷は-5°の冷蔵庫で保管され、ここにも常時100本以上の氷がストックされています。

そして、この職場の最大の魅力は、、、めちゃくちゃ涼しいことです。

冷蔵庫は当然のこと、製氷機から氷を抜く作業中は屋外にいても扉の付近にいるだけで涼しい空気が流れてきて、とても快適です。確かに、氷1本(130kg)を何本も運ぶのはなかなかに大変な作業ですが、氷の重さに負けないように氷に身体を密着させながら運んでいるときは、服越しに氷の冷たさが存分に感じられ、夏なのにアイススケートのリンクで転んだような感覚になります。

この仕事、重たいものを運んだり、氷を切断するときに直径1m近くある回転ノコギリを使ったり、何より氷を作るために-10°以上の液体がプールに注水されていたりと、気を抜いて事故になると大怪我じゃすまないことになりかねません。でも、氷を作るのに48時間以上かけたり、お客さんが来ない時間帯は福良湾の海を眺めたりと、とてもゆったりとした時間が流れています。

涼しいだけじゃない、悠久を感じられるのも、この職場の魅力かもしれません。