私は勤め人の頃にマネージャーや女性の管理職候補者に向けた教育プログラムを作る仕事をしていたことがあり、社会人の教育について、色々と考えたことがあります。会社を辞めてから通った大学院ではこの経験を活かせる場はあまり無く、今でもこれらの知識や経験を使うことはありません。
でも、だからこそ気になるんです。。。
色々な場で、色々な人と話をする機会がありますが、『この人、会社からどんな教育を受けてきたんだろう』とか『ちゃんとした教育を受けていれば、もっと良くなってたのに、、、』など、私には何の関係も無いんですが、なぜか残念に思ってしまうんです。なので、今回は私がこれはいいなぁ、と思った2つの教育方針について書いていきます。
ひとつ目は、「経験学習モデル」と言われるものです。人の成長は経験が7割、人からの指導やアドバイスは2割、研修や自己学習1割で、特に社会人を育てるのは経験させることが重要だと言われています。確かに、私自身も社会人になってから『成長したなぁ~』って思うのは、職場が変わって新しい業務を任されたときなど、慣れない環境や新しい人間関係のなかに身を置いたときでした。
なので、私は人材育成の点から積極的に転勤させるべき、できれば社内では絶対に経験出来ない業務を経験するためにまったく関係のない業種や業界に出向させればいい、という人事異動の過激派でした。当時は、会社にはなんのメリットもない環境問題に取り組むNPO法人や県庁なんかに出向させることを目論み、経営陣の説得に苦労したことを覚えています。
ただ、この経験学習モデル、単に経験させればいいって訳でもないんです。むしろ、この続きの方が重要で、経験した後に「何故、失敗したのか?」「成功した理由は?」など、結果の如何に関わらず内省(振り返り)して、そこから得た知見を概念化しないと意味がないんです。ちなみに、論文の出所は忘れましたが、偏差値が高いと言われる大学と他の大学の学生を比較すると、同じ経験をしても偏差値の高い大学生の方が内省→概念化を習慣化できており、より成長する力がある、、、と書いてありました。昔、大手といわれる企業が学歴重視で新卒を採用していたのも、ちゃんと筋が通っていたようです。
「経験学習モデル」はかなり一般的で、本もたくさん出ています。興味のある方は是非!
もう一つは、「ダブルループ学習」です。これは、人事制度改定を手伝っていたときに社員とパートの職制の違いを正当化するための理屈として学んだもので、今でも『よくできた考え方だなぁ』って感心して、色々な場所で使っています。
考え方はシンプルで、現在の問題を解決するのがシングルループ、問題を根本から考え直すのがダブルループです。例えば、食材調達のために釣りに行ったけど、なかなか釣れない、、、とします。魚を釣るために餌を変えたり、場所を移ったりして魚を釣る工夫をするのがシングルループの人。ダブルループの人は、そもそもなんで魚を釣る必要があるのか、食材調達であれば山に入って狩りをしてもいいのでは、と考える人のことです。
これを人事制度改定のときに、パートはシングルループでも構わないが、社員はダブルループで考えるんだ、、、という屁理屈をこねて正当化しましたが、実際に企業が求めているのはダブルループの考え方ができる人のはずです。トラブルが起こったら、真っ先にそのトラブルを解決するのはもちろん、そもそもトラブルが発生しないように考えて工夫する。これができる社員が「優秀な人」と評価されるんだと思います。
こちらは書籍などは見たことがないので、興味のある方はWebで検索するのがお勧めです。
今回は学習理論の紹介になってしまいました。
そろそろ日記のネタも尽きてきたのかなぁ。。。