南あわじ市の南側では春に大きなお祭りがあります。今年だと4月2日の日曜日から福良地区のだんじり祭りを皮切りに約1か月にわたり毎週どこかでだんじりが引かれています。私が住む阿万地区のお祭りは4月16日(日)で、先日「口開け」と呼ばれる顔合わせのような集まりが催され、その数日後から「鳴らし」と呼ばれる、いわゆる練習が始まりました。
この春祭りは若手がだんじりを率いて唄を各地域の八幡宮に奉納する、というのが共通しているらしく、地域間で競い合っている感もあります。その中でも阿万地区は阿万9地区と北阿万6地区の計15台のだんじりが道を練り歩くようで、我が吹上町も吹上海岸から亀岡八幡宮までを町のシンボルカラーである黄色の襷をかけて大声で祭囃子を唄いながら歩きます。
そして、八幡宮にだんじりが到着したら今度は唄ですが、これは歌舞伎のものを使っていて、今年の吹上町の演目は「忠臣蔵」です。私、あんまり詳しくないので忠臣蔵のどの場面かは分かりませんが、平右衛門とお軽が出てきたので恐らく7段目。討ち入りの密書を見てしまったお軽を平右衛門が切りつけようとするシーンではないかと、、、
先日行われた1回目の鳴らし(練習)で配役を決め、太鼓のリズムに合わせてとりあえず通しで歌っている様子を見ていたんですが、2年のブランクがあってもそこは地元の若い衆(と言っても40歳オーバーもちらほら)。初めて聞く私にとっては、練習の必要がないくらい十分な出来でした。これをだんじりに乗って太鼓を叩く4人の子供たちと一緒に1か月間、週2~3回の練習を経て本番に挑むわけなんで、気合の入り具合も本物です。ちなみに、私は自治会の役員と言う立場でお祭りをバックアップする立場で、唄も歌わないし危ないのでだんじりも引かない予定です(-_-;)
と、ここまで書きましたが、私も実際に見たことはなく動画で予習したんです。盛り上がるとは聞いていたんですが、なんせコロナの影響もありここ2年はお祭りも中止しており、生で見る機会がありませんでした。
これが今年はやるんです!!
でも、開催に漕ぎつくまでには自治会の会長同士で喧々諤々の議論がなされたようです。お祭りの話が出たときにはマスク着用を個人の判断とすることや感染症の分類を5類にするなどの発表がされる前だったので、お年寄りの多いこの辺りの地域でクラスターでも発生したらどうするのか、といった意見も根強くあり、最終的には参加は地区ごとの判断に任されました。
当然、吹上町でも自治会の役員で話し合いをおこないました。お祭りはここに住む人たち(特にお年寄り)が守りたい伝統行事になっていて、これを途絶えさせる訳にはいかない、といった主張や実際にだんじりを引く若い衆は本当にこの行事を続けたいのか、今年はもう1年様子をみて来年からでもいいのでは、、、など様々な意見もでました。
で、最終的な判断の決め手になったのは「継承する時間」でした。
このお祭り、単にだんじりを引っ張るだけでなく唄があったり太鼓があったりと役割がしっかりあり、それらを継承するには時間がかかるんです。なので、2年空いたあとの今年やらないと、恐らく来年以降はやりたくてもできない、、、なんてことになりそうなんです。
例えば、太鼓の叩き手はだんじりの上に乗るので、体の大きさ的に概ね小学校3年生~6年生が選ばれるんですが、3年も空くと太鼓の経験者はゼロになります。そして更にやっかいなのは唄で、リズム用の楽譜(?)はあるんですが、音程は載っていない。聴いて覚えるしかないんですが、聴く機会がない。難しい大振りと言われるパートは1つの音を12拍も伸ばすんですが、節回しが独特で実際に歌える人は限られている。しかも40オーバーばかり。早く後継者を作らないと、、、みんな焦っています。
結局、各地区とも同じような悩みを抱えていたようで、最終的にはすべての地区が参加することになった今年の春祭り。15台のだんじりが練り歩く姿は壮観(らしいです。。。)
よかったら春の南あわじを堪能しに来ては!
(参考動画:吹上は54分40秒あたりからです)
YouTube:平成31年 阿万亀岡八幡神社春祭り本宮2 お旅 【長編動画】