【FIREの日常】#94 最近知った遺言の話

今年に入ってから知り合いや近所の人からの相談が増えています。中小企業診断士としてアドバイスするケースや元保険会社勤務として相談にのることもありますが、圧倒的に多いのが相続に関する相談です。と言っても、親族間で争っているとか、隠し子が見つかって対応に困っているなどの深刻なものではなく、手続きに関するものがほとんどです。

確かに、相続はこれを仕事にでもしない限り、多くの人は人生で2~3回程度携わるだけで、手続き方法なんて忘れてしまいます。ましてや法律では財産の分配方法から相続税の納付期限など様々なことがルール化されていて、実際にそれらをこなすのは大変な作業です。なので、最近こっちに越してきた新参者でも相談してくれるんだと思うんですが、私も実際に相続手続きをしたことはないため、その分勉強しないと申し訳ないと思い、セミナーなどにはできるだけ参加するようにしています。今回は恥ずかしながら、あるセミナーで初めて知った遺言に関する新制度について自分の頭の整理のために書いてみます。

『遺言』って聞いて、まったく何のことか分からないという人は小さな子供や来日して間もない外国人以外は大体わかると思います。そう、死ぬ前に自分の財産などを誰と誰に譲るのか、、、って感じのことを書いて大事に保管しておく、例のあれです。

でも、実際に遺言書を書いたことのある人や実物を見たことのある人はあんまり聞かないし、その手続き方法もあまり知られていません。私も行政書士の受験勉強のテキストを読むまでは知る機会もなかったし、知りたいとも思いませんでした。それが受験対策とは言え、勉強してみると中途半端なイメージしかなかった遺言について、頭の中の整理ができて興味が湧いてきたんです。

昔、サスペンスドラマや映画などを見ていたころの疑問に、

なんで、遺言書がいくつもあるの? 一つじゃないの?

金持ちが亡くなったら出てくる、あの遺言書を読み上げるあの人は何者?

遺言の内容を知ってるパターンもあるけど、内容がまったく分からないパターンもあるし、、、

うーん、遺言って制度はゆるいのか固いのよく分からん

などと思っていましたが、それらも法律を学んでやっと理解できました。

そもそも、遺言は3種類のやり方があって遺言書の保管場所や証人の有無などそれぞれ異なるルールで運用されているます。なので、サスペンスドラマの設定にはおあつらえ向きで、偽造や書き換えができるもの(恐らく、自筆証書遺言)や、遺言の執行者(遺言書を読み上げるあの人)を定めた公正証書遺言(必須ではないけど、、、)、封をして中身を見ることができない秘密証書遺言があり、ドラマのシナリオに沿って使い分けていたんですね。こんなの一般人には理解できないし、その結果として遺言・相続ってなんか難しいってイメージになっちゃうんでしょう。

と、ここまで書いていよいよ本題。セミナーで知った新事実なんですが、これまで自筆証書遺言って自分で書くだけなので費用がかからず手軽だけど、本物かどうかの判断が難しくて信用できなぁ、って感じで思っていたんです。他の公正証書遺言や秘密証書遺言は、証人が立ち会って作られるので偽造はまず無理なので。

そんな自筆証書遺言の弱点を克服した新サービスを法務局がリリースしたんです。なんと、自筆証書遺言を50年間預かってくれて、データは150年間保存しておくってことらしいんです。しかも、たったの3,900円で!

公正証書遺言や秘密証書遺言は費用がお高くて(一般的には十数万円~数十万円)利用するのを躊躇すると思いますが、3,900円なら「安い」が強みだった自筆証書遺言のメリットはそのままです。さらに、遺言を書いた人が亡くなったら親族にお知らせしてくれる通知サービスもあり、自筆証書遺言の弱点だった「秘密にし過ぎて遺言書が誰にも発見されなかった」なんてこともありません。いいこと尽くめです。

財産って、これまで頑張って働いて築いたいわゆる「生きた証」の一部だと思うんです。なので、死後に自分の意思を気軽に残せるこの新サービスは、とてもよくできた制度なんじゃないかと思います。

是非一度検討してみては。。。