【FIREの日常】#108 御日待ち

「御日待ち」ってご存知ですか?

今年から自治会の役員をやっている兼ね合いで、御日待ちなる行事に呼ばれたんですが、恥ずかしながら初めて聞く言葉で何のために何をする行事なのか、まったく分かりません。周囲の話では自治会役員をねぎらうために、年に一度だけ自治会費を使って飲み食いしてもいい日のようなんですが、飲み食いの前に早朝から神事があるようです。折角なので、今回は御日待ちについて調べてみたことを書きながら、実際にどんなことをしたのかについてレポートしてみます。

まず、「御日待ち」をWebで調べると、

コトバンク・・・ 集落の者が集まって信仰的な集会を開き、一夜を眠らないで籠り明かすこと。「まち」は「まつり(祭)」と同語源であるが、のちに「待ち」と解したため、日の出を待ち拝む意にした。期日は正月の例が多い。転じて、単に仲間の飲食する機会をいうところがあり、休日の意とするところもある。

デジタル岡山大百科(岡山県西崎元町地区)・・・(一部抜粋)宗教結社である講仲間が存続し、今も各戸、輪番で「お日待ち講」がお正月と9月に営まれる。「お日待ち」が続いている地域は岡山のみならず全国的にも珍しいと言われている。宗教行事とはいえ、娯楽の少ない時代には地元の人々の楽しみの場であったのだろう。

山口市Webサイト・・・正月行事で、神主が各家々を廻りその年の豊作と家内安全を祈願する。各家では米・餅・水・塩等の供え物を準備し(家によっては供え物及び並べ方に代々受け継がれてきた伝統がある)、神主が竹と紙を用いて御幣を作り、床の間にて神事を執り行う。

広辞苑第4版(岩波書店)より
★日待ち
①前夜から潔斎して寝ずに日の出を待って拝むこと。一般に正・五・九月の吉日を選んで行い、終夜酒宴を催す。影待。福富長者物語「お日待より帰りて道々眠かりしも」

日本史辞典(角川第2版)より
★日待
前夜から潔斎して寝ないで日の出を待って拝むこと。「まち」は元来神のそばにいることであったが、のち待つに転意した。日を祭る日本固有の信仰に、中世、陰陽道や仏教が習合されて生じたもので、1・5・9・11月に行われるのが普通。日取りは15・17・19・23・26日。また酉・甲子・庚申など。二十三夜講が最も一般的。講を作り部落で共通の飲食をする。

などなど、かなりの数の記事が出てきます。他にも埼玉県の嵐山や神奈川県の菅町、南魚沼など日本全国のあらゆる地域で行われているようで、歴史もそれなりに深いようです。記事を読むと仏教の特定の宗派だけにある行事でもないようです。とりあえず分かったことは、開催時期も目的も共通しておらず、各土地の都合に合わせて変化してきた行事のようです。

と言うことで、我が自治会の御日待ちに参加してきました。

集合時間は6時50分。大日庵(地域の鎮守的な神社のこと=氏神様)に自治会役員が全員集まって、7時から祈祷が始まりました。宮司さんが護摩祈願をおこなっている後ろに並んで、我々も庵住さんと一緒に般若心経や光明真言などを見様見真似で唱えること約2時間。すべての護摩札が燃え尽きるまで続きました。そもそも、真言について知識のない無作法な人間なので、読み上げているお経の意味など全く分からないまま、ただただフリガナに従って声を出しただけですが、余計なことを考える暇もなくなりある種の瞑想状態になれた気がします。

その後、今回の御日待ちとは関係ありませんが、大日庵の天井裏にイタチが住みついているようなので、役員全員で汗をたっぷりとかきながら掃除と駆除をおこないました。これが終わったのが11時ごろ。

いよいよ、飲み食いの時間です。

過去には島外に出て一日中、目一杯遊んだこともあったようですが、今回は近場で済まそうということになり、車で15分ほどの懐石料理屋へ。
この時期なので鱧がメインのコース料理が順番に出て来ました。どれも淡路島産の食材を使用していて、上品な味付けもとても気に入りました。でも一番は平日昼間から飲むビールの美味しさでした。午前中に汗をかいて一仕事終えた後ということもあり、何とも言えない背徳感を味わいながら飲むお酒は格別でした。

半年間の自治会活動を労いながら2時間のコースランチをすっかり堪能して、ほろ酔い加減でお店を出たのが14時過ぎです。その後はまっすぐ家まで送ってもらい、深い深い昼寝の時間になりました。

結局、御日待ちという行事がこの土地でどのように根付いたのか、他の地域とは違う時期に行われる理由など、本質的なことはよく分かりませんでしたが、慰労会的な意味合いの行事なので誰も止めたがらないだろうな、とは感じました。

自治会は地域のために活動する結構ハードなボランティアです。たまには慰労してもらってもいいのかもしれません。