「ご馳走」という言葉

今回は、「ご馳走」という言葉についての個人的な想いを書きます。

他の日記でも書きましたが、関東生活もあとわずかになり、そろそろ淡路島が恋しくなってきました。それに併せて、不在期間中にお世話になった淡路の人たちへのお土産を何にするのか、というタスクが頭をよぎりました。クリスマス前だし、できれば喜んでもらえるご馳走をお渡ししたいけど、、、何にするか迷います。

今や、日本中のみならず、世界中の美味しいものがネットで手に入る時代になり、また、ふるさと納税などで特産物を取り寄せるのが当たり前になっています。自分の好きなものに囲まれ、欲しいものには簡単に手が届く世の中で、いったい何を持ちかえれば心から喜んでもらえるのだろうか。悩むのと同時に、とても便利な世の中だけど、ある意味悲しい時代になったんじゃないかなぁ、なんて思いました。

そもそも、「ご馳走」とは、「走り回る」という意味の「馳走」がベースになっています。昔の日本では大切なお客さまや友人などを家にお招きする時に、その方々をおもてなしするための用意として、馬を走らせて方々へ出向き、食材や器などを調達していました。流通網が整った今とは違い、もてなしの品々を集めるのに、とても苦労のいる時代だったからこそ、「ご馳走」がとても「有難い(ありがたい=滅多にない)」ものだったはずです。おそらく、提供された食べ物そのものが希少で貴重だったことよりも、それを手に入れるためにかけた時間や苦労に感謝しているのだと思います。

と言うことで、今回のお土産は脚と時間を使ったものに決めました。

「ツッカベッカライカヤヌマのテーベッカライ」

何かの呪文のようですが、溜池山王にあるオーストリア菓子の専門店です。オーストリア菓子を販売しているお店はなかなか珍しく、しかもとても美味。15年ほど前に営業職として東京勤務していたとき、上司から接待の手土産としてこの「テーベッカライ」を依頼され、興味本位で自分の分も購入して食べてみました。

驚きの味と触感!!

間違いなく、これまで食べたクッキーの中で一番美味しく、その後十数年経った今でも、当時の感動を覚えています。今回のお土産はこれにしようと思い、喜び勇んでお店に向かいました。到着したのは、11月中旬の平日で開店から1時間と少し経ったころでしたが、お店の前に並んだ私に店員さんは言いました。

『今日のクッキーは売り切れましたよ』

それでも簡単には諦められないので、

『後日取に来たいのですが、いつならいいですか?』

と伝えた私に、店員さんは追い打ちをかけるように

『すでに12月分の予約受付は終了しています。取り置きも1月分になります』

とのこと。あまりの人気ぶりに愕然としました。15年前の感動をお世話になっている淡路島の人たちにも伝えたかったのに。。。

『今回のお土産としては無理かぁ』っと半ば諦めていましたが、帰る日が近づくにつれて、やっぱり持って帰りたい欲が高まってきました。『ご馳走は脚と時間を使うこと!』の信念を思い出し、数少ない当日販売を目当てに並ぶことにしました。

事前に電話で様子を聞いたところ、概ね50人近くが並んでいるとのことだったので、開店1時間前にお店にいく気合の入れよう。12月中旬の寒空のなか、てっきり1番乗りかと思いきや、前に4人の方がすでに並んでおり、5番目のポジションを確保しました。その後、開店30分前には行列は30人を超え、5分前には50人を超えています。

そして、いよいよ開店。最初に3人がお店に入り、約3分後に入店の順番が来ました。お目当ては決まっていたので、すぐに店員さんに『テーベッカライのA缶をください!』と伝え、わずか2分で会計へ。

手に入れてしまえば、少し珍しいだけのクッキーなんですが、手に入れるまでのストーリーが『ご馳走』なんですね。(^.^)/~~~

お世話になった人たちは、今回のご馳走を喜んでくれるかなぁ。。。