今年1月の日記に個人的な関心事として、移住生活を楽しめている人と上手くいかずに帰ってしまった人の違いを体系的に分析してみたいと書きました。その結果として、移住の成功パターンを再現可能な形で抽出できたらいいなぁ、というマニアックな暇つぶしで単なる自己満足な企画を始めてみました。
なので、興味のない人には意味不明な内容になるかもしれません。悪しからず m(__)m
今回はその1回目。
まずは分析についてある程度の方向性を定めるべきかと思い、以下の手順で進めることにしました。
1.Web上に掲載されているポジティブな移住者のインタビュー記事などを集める
2.同じく、ネガティブな掲載記事を集める
3.それぞれの記事を計量テキスト分析にかけて傾向や相関をみる
4.分析結果からポジ・ネガの仮説を立てる
5.仮説の検証のため、知り合いの移住者数名にアンケートをおこなう
6.検証結果を整理し、再現性のある移住成功モデルを作る
と、なんだか論文でも書くのか?なんて言われそうな手順ですが、趣味なので楽しみながらやってみようと思っています。
で、第1回の今回は約2日ほどかけてポジティブ移住者のインタビュー記事を113人分、単語の数にして約15万語を集めて計量テキスト分析(対応分析)をやってみました。
①年代別にみた頻出キーワード
60代-元気、家、
50代-店、オープン、料理、カフェ、開く、大阪、神戸
40代-夢、子育て、緑、自然、東京
30代-民家、学ぶ、農業、農家
20代-自身、会社、働く
②職業別に見た頻出キーワード
独立開業-夢、民家、料理、カフェ、教室
農業-野菜、玉ねぎ、農家
クリエーター-子育て、田舎
会社員-楽しむ、夫婦
リタイヤ-元気、友達
③家族構成別の頻出キーワード
家族-子育て、子ども、奥様、東京
夫婦-新しい、料理、教室、出身、友達
単身-経営、時間、会社、仲間、夢
この対応分析は、年代や職業など外部変数によって使われている言葉にどれくらい違いがあるのかをみるための手法で、例えば家族構成が「家族」の場合、子育てや子どもがよく使われるのは『そりゃ、当たり前でしょ』なんてこともあります。でも職業別でみた「クリエーター」は田舎の環境に惹かれているのと同じかそれ以上に子育てを意識して移住生活を送っている、だったりとか、会社員は趣味を満喫しているようだ、など言われてみれば確かにそうかも、という発見などもあります。
次に、これで想起ネットワーク(一緒に使われている言葉の組み合わせを分析したもの)を使って移住生活にどんな感想を持っているのかをみてみました。
「人」というキーワードから「温かい、地域、地元、多い」などを連想
⇒地元の人は温かい人が多く、地域活動にも積極的に参加しているようだ
「自然」というキーワードと「子育て、環境、夫婦」を結び付けている
⇒子育てを夫婦で自然環境の良い場所でおこなっているのかも
「出身」というキーワードと「Uターン、出会い、結婚、働く」に強い繋がりがある
⇒恐らく、結婚を機にUターンで淡路島の暮らしを始めたのでは
「農業」「農家」というキーワードと「楽しい、紹介、経営」が一緒に使われている
⇒農業を目的に移住してきた人は数年で独立して経営者になっているようだ
「暮らし」というキーワードは「田舎、楽しむ、夫婦」と一緒に使われている
⇒田舎暮らしを始める人はプライベート重視の傾向があるのでは
この想起ネットワークの中心に農業以外の「仕事」や「お金」に関するキーワードが少ないことから、移住の目的は「稼ぐ」とか「儲ける」ではなくワークラーフバランスで言うとワークの比率が低い人たちの満足度が高いように思われます。
ここまでをまとめてみると、、、
分析結果
①移住には「仕事」でチャレンジしたいグループと、充実した「暮らし」を求めるグループに分かれる
②会社員、リタイヤ組は「暮らし」、自営・開業、農業は「仕事」が話題の中心になっている
③20代、30代、50代は「仕事」、40代は子育てを中心とした「暮らし」、60代は夫婦ともども元気に暮らすことが目的になっている
④年代が高いほど近距離の移住、若いほど遠距離から移住している
こんなことが分かってきました。なので、若者の移住者を増やしたければ東京など遠隔地での広報活動に力を入れるべきで、若い世代に合わせた情報発信手段を使うべきなんでしょうね。
で、今回の目標である移住に満足している人の共通項を探すために仮設を立ててみました。
仮説
1.仕事で上手くいっている人は、移住生活にも満足している
2.多趣味な人ほど、移住生活に満足している
3.子育ては行政の支援よりも社会・自然環境を重視している
4.地域活動に積極的に参加している人ほど、移住生活に満足している
5.学習意欲の高い人ほど、移住生活に満足している
今回はここまで。次回は志半ばで移住生活を辞めてしまった人たちの記事を集めて、同じように分析してみたいと思います。