家から歩いて10分ほどのところに「吹上浜」という海岸があります。散歩でよく行く場所ですが、この時期はキスやヒラメなど砂地の魚釣りをする人たちが早朝から訪れます。ただ、この砂浜は急激に深くなっているようで、しかも離岸流になっており遊泳などは一切禁止されています。
そして、その海岸から直線距離で1kmくらいのほど近いところに「阿万海水浴場」があります。我が家から歩いて30分くらいの距離にあり、海の家やシャワー設備など海水浴場としてのインフラが整ったもっとも近場のレジャー施設です。先日、ここで車椅子の人たちに海水浴を体験してもらうというイベントがあり、知り合いから頼まれてボランティアメンバーとして お手伝いに行ってきました。
当日は梅雨明け間近の快晴で、全国的にうだるような暑さだった3連休の最終日。9時過ぎに海水浴場に到着すると、同じくボランティアで参加する顔見知りの人たちがすでに日除けと着替え用のテントを設営しているところで、挨拶もそこそこにお手伝い開始です。
このイベント用に新調したという真新しいテントを説明書も読まずに『あ~でもない、こ~でもない』と言いながら何とか建て終えると、今度は砂浜に車椅子が通るための道を作ります。
専用のシート(伸ばすと1枚10m×2mほどの板状になる硬化プラスチックみたいなもの)を複数枚並べてからずれないようにペグで固定していきます。これを7~8枚くらい設置したらいよいよ講習スタートです。
海にも入れる車椅子の組立方法から始まり、人を乗せた車椅子を安全に海岸まで運ぶ練習などを1時間ほど教わりました。ただ、この講習は一方的に説明を受けるだけではなく現場の状況に併せたオペレーションを一緒に考えていくようなやり方でした。具体的には、阿万海水浴場は歩道と海岸の間に3mほどの高低差があり、利用者は階段か斜度5度ほどの坂を降りて砂浜に向かうのですが、この坂を車椅子が安全に降りる方法を講師の人たちとボランティアの面々が一緒になって試行錯誤しながら講習が進みました。
そして、11時ごろに最初の体験者が到着しました。この日の午前中は3歳と5歳の子供が家族と一緒に海水浴を楽しみたいとの要望があり、普段からお世話している福祉施設のスタッフも一緒に来られました。練習通りに砂浜専用の車椅子に乗り換えてもらい、それをゆっくり慎重に海岸まで運び、いよいよ入水。
ふたりとも海は初めてだったようで、最初こそ怯えているようにも見えましたが、そのうちに気持ちよくなったのか、笑顔も見られるようになりました。浮き輪がわりの救命胴衣を着て、プカプカと海の上を漂い、それを取り囲む家族の様子を写真に撮る、、、車椅子だとこんな普通のことすらも貴重な体験なんだと改めて知りました。
この日は午後も2組やってきて各々海水浴を楽しんでもらい、16時くらいに無事にお見送りが終わりました。その後、1時間くらいかけて機材を撤収し、お世話になった講師の方々にお礼を言って解散、、、という流れでした。
今回の講師は神戸の須磨海岸で以前からこのような「ユニバーサルビーチ」の活動をされているNPOの人たちで、機材も須磨から持ってきてくれました。ほぼ1日中、炎天下での活動にも関わらず、最後まで明るく元気に活動している姿はとても印象的でした。
この活動、あと3回予定されていて、私もすでに頭数に入っているようです。
日焼け対策をしっかりして、十数年ぶりの海水浴をエンジョイします。。。