【FIREの日常】#104 最近の移住に関する報道について

私はこの日記で時事ネタを取り上げてコメントを発信するのは控えてきました。

と言うのも、考え方なんて10人いれば10通りあるのは当然でこの思想の自由こそが健全な社会の根幹だと信じているし、他人に自分の考えをどうこう言われる筋合いなんて無いとも思っています。なので、人の考え方や思想について(他人である)私がどうこう言うのは違うと思っていて、そんなポリシーで時事ネタを取り上げてあーだこーだ言うのはやめていました。

でも、最近の流行りなのか移住に関するニュースを目にする機会が増え、しかもネガティブなものばかりが取り上げられているような気がするのと、どれも地元民が悪く書かれていると感じることが多いので、今回はその辺りについての個人的な見解を書いていきます。

まず初めは「移住者は都会風を吹かすな」問題から。

これは移住者向けに地元自治体が移住前に知って欲しいことを7か条として定めて、その中に「都会風を吹かさないでください」や「品定めされていることを自覚してください」などと書かれていたことが物議を醸した、、、というものです。
まぁ、言葉遣いや表現がきつすぎるという問題は置いておいて、移住前にその土地で暮らすことへの備えや覚悟について情報提供することはいいことだと思っています。そもそも、都会と田舎では生活スタイルが違うのは当たり前で、以前の日記で書いたと思いますが何かを実現したければ何かを失う覚悟は必要です。歩いて10分の範囲にコンビニやスーパーが4件ある便利な暮らしは失うけれど、鳥の声と虫の音だけの静寂で心落ち着く環境を得ることができるのが田舎暮らしです。
人付き合いも同様で、地域の集会やお隣と挨拶すらない「孤独だけど煩わしさのない暮らし」を犠牲に、ご近所さんがほとんど顔見知りで収穫した野菜を(欲しいと言っていないのに、、、)お裾分けしてくれたり、旅行に行くと近くに住んでいるというだけでお土産を持ってきてくれたり、果てはスーパーに行ったからついでにお刺身の盛り合わせを買ってきてくれたり、など「家族未満、親戚以上の隣人たち」を手に入れることができます。
移住した身からすると新天地に夢や希望を持つことは当然ですが、現実はそれらと違うことが多いのも当たり前です。なので「失うかもしれないこと」や「手に入るかもしれないもの」、「これまでの常識では対応できないこと」などを移住前に知らせることは受入れ側である地元がやらなきゃいけないことだと思います。私も町内会の役員として、この町に住むことを希望する人たちに向けて心構えや準備、住んだらお願いしたいことを取りまとめて、自治会のホームページに掲載する予定です。
もちろん、言葉遣いや表現には最大限注意を払いますが。。。(;一_一)

次が「移住者カフェの強制立ち退き」問題。

これは移住者が経営していたカフェを一方的に立ち退きさせられ、その経緯やこれまでのやり取りがネットで拡散され炎上した件です。ことの詳細はネット記事なんかに詳しく載っているのでここでは割愛して、感想だけ。
個人的には成功者に嫉妬や妬みを持つのは都会も田舎も変わらないと思っていて、その苦労はどんな組織や社会にいても同じだと感じています。私はサラリーマンの時に他人を蹴落とすのにやっきになる人や嫉妬はするけど努力をしない人など、人の醜くいけど恐らく本質であろう部分をたくさん見てきました。そして、住民が一つの組織体になっているような今の田舎生活もサラリーマン生活と大差なく、宴席で他人への羨望や嫉妬に近い会話はよく耳にします。

なので田舎や地方を純朴で聖人君子のいい人ばかりが暮らしている平穏無事な場所だと信じたい人には移住生活を楽しむのは難しいかもしれません。田舎はそんな楽園じゃありません。
私は地方での今の環境を「地域全体がゆるい繋がりの会社的組織」だと考えて、その心づもりで生活しています。明確ではないながらも住民間では上下関係や役割がなんとなく決まっていて、しかもゆるい派閥的なものもあるように感じます。誰と誰は例の件があって仲が悪いとか、誰と誰は親戚だからどんな話も筒抜けだとか、、、
『あの部長は専務の子飼いだから逆らうと専務に睨まれる』『今度の課長は常務の部長時代の部下らしいから上手くやるといいことあるかも』など、いつかの会話が思い出されるくらいに人間関係は都会でも田舎でも変わりません。大事なのは組織内での自分の立ち位置め明確にすることだと思います。

今回の立ち退き騒動は、部下(立場の弱い者、今回は移住者)が一生懸命取組んだ企画が思った以上にヒットして周囲の賞賛を浴びたことに嫉妬した上司(地元の有力者)が、権力をかざしてその手柄を掠め取ろうとした、、、こんなところかと。恐らく似たようなことは色々な場所や会社で起きていることだと思います。実際に、この近くでも荒地だった遊休地を、『どうせ誰も使ってないから、タダで自由に使っていいよ!』と提案されて一生懸命開墾した移住者が、農作物が順調に育つ頃になって、『親戚が使うことになったから返してくれ』と言われ憤慨したなんてことも聞いています。

どちらの件も、入る側(移住者)と受入れる側(地元の人たち)どちらの主張も間違ってないし、本人たちからすると真っ当なことしか言ってないんでしょう。これを煽り立てる当事者でもない無責任な第三者もどうかと思うし、その煽りを面白おかしく記事にして話題を作ろうとするマスコミも好きにはなれませんが、移住そのものが流行して注目されているのは悪いことではないと思います。できれば、これらを非難・批判する人たちも意見を発信する前に少しだけ立ち止まって、両方の立場で考えてみて欲しいです。

「双方の岸より眺めての川」

自分の言いたいことだけを発信するのではなく、それを発信する前に言われた側の心情や出来事の背景について思いを巡らせる。これだけで嫌な気持ちになるSNSは減んじゃないかと。。。

まぁ、私は自己中でそんな配慮できないので、SNSでの発信はやりません m(_ _)m