雑感:悪魔の証明

悪魔の証明って知ってますか?

狭義の意味では、モノや土地の所有権を過去にさかのぼって証明することの難しさを表現したもので、それが転じて一般的には「証明ができない、非常に困難なことがら」を指すようになりました。そして今、私もこの悪魔の証明に立ち向かっています。。。

Yahoo地図を最大限に拡大したり、住宅地図を見たことがある方ならなんとなくイメージできると思いますが、一般的に地籍調査がおこなわれた土地には境界があり、「地籍図」なるものでその土地がどうやって区分されているのかを調べることができるようになっています。
しかし、ごく稀に土地の境界がない場所があります。過去から取引されていなかったからなのか、今でも境界を明確にしないまま登録されていて、誰がどの区分を所有しているのか分からない状態なんです。

そして、不幸にも仕事として、こんな土地に関わることになってしまいました(>_<)

業務内容については色々なものに抵触するので割愛しますが、大雑把に言うとある土地の所有者を探し出して許可をとる、、、と言うのが業務の一部なんです。そして、これがミッションインポッシブル(不可能な業務)で悪魔の証明なんです。

そもそも、境界のない土地=誰のものかはっきりしていない、という状況で、その人たちに

『この土地、使ってもいいですか?』

『あなたの土地に越境してないですよね?』  と聞かなければならない。

でも、まあこれだけなら別に不可能でもない。所有者を洗い出して確認を取れば済む話で時間をかければ何とかなりそうです。

今回のケースはここからが厄介で、所有者の何人かがすでにお亡くなりになっているんです。しかも70年近く前に。。。

70年前に亡くなった方の相続人探しはかなり大変でやりたくない作業の一つです。今回の仕事は相続人を確定することが目的ではなく、ある許可を得るためなので、なにか抜け道はないかと色々と交渉してはみましたが、結局はダメ(:_;)
もし、相続した可能性のある人が何かの事情で『越境してますよね』と言ってきたらどうするんだ、、、と回答があり、相続する可能性のある人全員から承諾を取れ、、、と言われました。

そもそも、土地はお金などと違って分割するメリットが少ないので、よっぽど大きな土地以外は相続人全員が分けて所有することはあまりなく、誰か1人が相続するのが一般的です。
恐らく、嫁にいった姉妹や養子にいった兄弟には土地を相続されることはなかったと思うのですが、今回は相続手続きがされていなかったので、常識的にいって相続される可能性が極端に低い人でも調査をしなければなりません。しかも、70年前に亡くなった方の相続人なので、子供たちもすでに亡くなっている可能性が高く、孫や曾孫まで捜索範囲を拡げなきゃならない、、、って感じです。

ここに至るまでの間で『何のためにこの作業が必要なの?不毛な作業では?』と、すでにこの確認業務の意味と意義が見えなくなっているんですが、それでも、かなりの時間と労力とお金をかければ、、、やってやれなくもない。

『まだ、悪魔の証明ではないはず、、、』

と、この言葉を心の支えに限りなく不可能に近いミッションを、それでも証明できる可能性はわずかながら残っていると信じて取り組んでいます。

『諦めたら、そこで試合終了』

あの有名な言葉を胸に、とりあえず手を動かしている猛暑の夏です。

ここからは余談というか愚痴。

『ここは私の土地で、あなたは私の土地を越境してます(# ゚Д゚)』

と、相続人の誰かが言ってくるかもしれないから全員に確認を取れ、、、というのが今回の許可人からの主張なんですが、そもそも境界のない 土地でどうやって『ここは私の土地です』と主張するのか?

これこそまさに「悪魔の証明」で、誰も自分のモノであることを証明できないし、主張されるはずもないんですが、その議論はスルーされて『何かあったら困るから』という理由で全員の許可が必要なんだそうです。

昔々、天(空)が自分の頭に落ちてきたらどうしよう、、、と心配して夜も眠れなくなった人がいたという故事がありますが、まさに「杞憂」(現実には起こり得ない事態や、起こる可能性が極めて低い事態に対する過度な心配)。

こんなことのために振り回されるのは、、、

ここまで、単なる愚痴にお付き合いいただき、ありがとうございましたm(__)m

少し、スッキリしました。。。