8月に入ってから大きなイベントや出来事もなく、日記のネタに詰まってきました。と言うことで、今回は少し前に読んだ本ですが、夏休みだし読書感想文でも書いていきます。
本のタイトルは「Think clearly(シンク・クリアリー)」で、ロルフ・ドベリ著、安原実津訳のサンマーク出版から出ている本です。私は、この本を1年半くらい前に読んだんですが、その時は正直あまり印象に残るような内容ではありませんでした。この本、生きていくうえでの方向性や思考方法について52個も書いてあるんですが、昔流行った「マーフィーの法則」みたいに52の思考方法がそれぞれ独立していて、当時の私にはつながりがよく分からず、印象も薄かったのだと思います。ただ、移住してもうすぐ1年経つ今になって読み返してみて、『なるほど』と思う部分もいくつかあり、それらを少し紹介していきます。
まずは、「なんでも柔軟に修正しよう」です。私は、サラリーマン時代にコーポレート部門と呼ばれる企画系の部署(経営企画とか営業企画、人事など)に長くいたため、計画を作るのは日常茶飯事でした。そして、この計画の出来が会社全体の良し悪しに関わると思い込み、精緻で現実味があり、現場も理解できる実行し易い計画づくりを目指していました。そして、その習性は移住前に土地や建物を図面に起こして、家具の配置や庭造りを緻密に計画するところまで及んでいました。
でも実際に移住して、すべてを一人でやっていると、計画通りに進むなんてことは滅多にありません。むしろ、イレギュラーばかりで立てた計画は何処へ行ったのやら、、、そんな状況を振り返ってこの本を読むと「重要なのはスタートではなく、修正技術のほう」と言うのが身に染みて理解できます。しかも、計画が立派すぎると修正しづらくなるので、結果的に失敗する確率が高いとまで書かれています。確かに、初めての場所に飛び込み、初めましての人たちと出会い、その環境で暮らしていくには、計画よりも修正の方が大切でした。今ならよ~く、分かります。建築やDIYでは「現場合わせ」と言う言葉を使うことがありますが、計画よりも現場で実物の寸法にあわせて加工する、、、生活全般にも当てはまるのかもしれません。
次は、「解決よりも、予防をしよう」です。これはコンサルタントを名乗っている私にとっては影響の大きいものです。そもそも、コンサルタントは他人の問題を解決する、もしくは解決方法を一緒に考えることで報酬を得ています。でも、本書では「(一部を要約)経営破綻しかけた企業の事業再生を請け負う人たちがメディアでもてはやされているが、もっと評価されるべきは企業再生に陥ることを未然に防いでいる人だろう」としています。確かにその通りです。また、映画を例に挙げ、「(一部を要約)映画を見るなら、氷山に乗り上げて沈没する船から乗客・船員を降ろした後、船と一緒に沈む船長だろう。でも実際に船に乗るなら氷山から十分距離をとって安全に航行する船長だろう。ドラマチックはないけど」とあります。
本当に優秀なコンサルタントもそうなのかもしれません。何か事件や出来事が起こってから、颯爽とその問題を解決するんじゃなく、そもそも事件を未然に防ぐアドバイスをする。派手な活躍はできないし目立たないけど、とても役に立つ存在かもしれません。
他にも「性急に意見を述べるのはやめよう」とか「期待を管理しよう」など、生活環境が変わったことで理解できたものが幾つかありました。このシリーズは他にも「Think smart」だったり「Think right」なども出版されています。興味のある方は是非。
私は、、、機会があれば読んでみるかなぁ。