雑感:田舎暮らしとデジタル化

今度、商工会でネット販売に関するセミナーを開催する機会をいただきました。きっかけは、国が強力に推し進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)に関するイベントを南あわじでもやりたい、という相談を受けてのものです。でも、DXなんて大企業ならともかく淡路島の個人商店の人たちには興味も関心もない話題、、、なのでDXの前段としてデジタル化やITに慣れることを目的にネット販売について話をすることになりました。

依頼を受けてから早速、DXやデジタル化、ネット販売、セールスコピーの書き方など数冊の本を読んで、セミナーの資料作りに取り掛かりましたが、ここであることに気が付きました。

『デジタル化と田舎暮らしはとても相性がいいぞぉ』

田舎暮らしのデメリットの一つに不便さがあります。都会に比べると買い物できる場所は限られており、移動手段もほぼ自動車一択。でも、ネット通販が当たり前の昨今では、この不便もかなり解消されています。東京暮らしのころは近所のスーパーやコンビニ、ドラッグストアに足しげく通い、そこで日用品などの購入代金として年間数十万円~数百万円を払っていましたが、今はそれらのほとんどの支払先がAmazonに代わっただけで、むしろ買い物にかかる時間が短くなり、しかも選べる商品が圧倒的に増えたという恩恵まで受けています。それもこれも、物流業や小売業のデジタル化やITのお陰であり、地方で生活してはじめてその凄さに気が付きました。

こんなことをきっかけに、田舎暮らしをもっとデジタル化したらどうか?ということを色々と考えています。

例えば、回覧や各種案内。この地域は、今でも担当者が担当地域の家々をまわって回覧を手渡ししてくれますが、聞いてみると、不在の場合は何回か訪問するのが通例とのこと。これでは、平日家にいない勤め人や子育て世代にとっては負担が重いし、足腰の弱くなった高齢者にはできません。でも、この程度のことであれば、Webに掲示板を掲載してそれを見てもらったり、LINEやメールで配信したり、いくらでも方法は考えられます。

また、病院の数は足りているんですが、やっぱり遠いのでお年寄りはそこまで行く手段で苦労しています。都会と同じくどこの病院も午前中は混んでいるらしく、早い時間に診察券を入れておかないと待ち時間が長くなる。でも、そんな時間にバスは走っていない。と、どうなるか、、、出勤前に家の人が車で病院に寄り診察券を入れ、そのあと本人がバスで病院に向かう。。。こんなことが日常みたいです。これも遠隔医療が機能すれば、近所の寄合所にパソコンを設置するだけで先生に診断してもらえるようになる、ってことになります。他にも買い物サービスやアルバイト募集のマッチング、不用品の物々交換など、ITを使えば狭い地域の中だけで解決できそうなこともたくさんありそうです。

そして、デジタル化やIT化の恩恵を受けるのは、使う本人(お年寄り)だけではなく周囲の働く世代だと思います。

高齢者にかかる負担は、若者世代が支えている年金や税金など金銭的なものだけじゃありません。病院や買い物などへの送迎、安否確認も含めた見回りなど、生活していくのに必要なすべてを周囲の人たちが支えていて、その人たちの時間や労働力も負担に含まれます。この負担をできるだけ軽くしてあげないと、そのうち何かが破綻するような気がしています。そして、これを実現できる(今のところ)唯一の手段がITやデジタル化なんだと思います。

もちろん、IT、デジタル化にはインフラ整備も必要ですが、それ以上に使う側のリテラシー(知識とか能力)が求められます。高齢者の割合が高い田舎で住民全体のリテラシーを向上させることはかなり難しいことだとは思いますが、挑戦する価値はあるんじゃないかなぁ、、、っと思って、近所の有志の人たちとこの地域のお年寄りに向けたITリテラシー向上計画を練っています。

実現すると、とても面白いことになりそうです。今からワクワクです!